再生デジタル複写機 imagio Neo 603RC/753RC
Reconditioned Digital Copier imagio Neo 603RC/753RC
鈴木 健太郎
*森井 良浩
*桑山 尚司
*清水 圭一
*大槻 善則
** Kentaroh SUZUKI Yoshihiro MORII Takashi KUWAYAMA Keiichi SHIMIZU Yoshinori OHTSUKI佐藤 仙男
** Norio SATOH 要 旨 imagio Neo 603RC/753RCは市場から回収される使用済み製品に対して再生処理を施し，再びお 客様にお使い頂くことで循環型社会に貢献する，環境調和型デジタル複写機である．以下に製品 の特徴を示す． 1) 周辺機を含めリユース部品を質量比平均88%搭載．廃棄物削減と資源枯渇抑制に貢献 2) 再生機として初めてHybrid QSU技術を搭載し，大幅な省エネを実現 3) ハードディスク残存データ消去等の高度なセキュリティ機能の搭載 4) 国際エネルギースタープログラム基準，エコマーク等の各種環境基準に適合 AbstractThe imagio Neo 603RC/753RC is an environmental-friendly digital copier which contributes to a cyclic society in the effect that end-of-life machines are collected, reconditioned and used again by customers. It features the following:
1) Contributing to the waste reduction and resources savings by using approximately 88wt% of reused parts including peripherals.
2) Achieving a large-scale energy savings as the first of its kind at Ricoh by incorporating the Hybrid QSU (Quick Start Up) technology.
3) Incorporating cutting-edge security technologies such as residual data–erasing technology in HDD.
4) Complying with various environmental standards including International Energy Star Program and Eco-mark.
* MFP事業本部 3R推進センター 3R Promotion Center, MFP Business Group ** 東北リコー株式会社 生産事業本部
1．背景と目的
近年世界中で気候変動による被害が多発し，資源枯 渇など地球環境の変化は人間社会に大きな危機をもた らしている．我々人類は従来の大量生産・大量消費・ 大量廃棄型の社会モデルから，資源循環型，低炭素型 への変革が求められている． 当社では循環型社会実現の取り組みの一つとして， 再生機（リコンディショニング機）と呼ばれる製品を 1999年から世に送り出してきた．再生機とは使用済み 複写機を回収し，工場で必要な部品を交換，品質保証 を行い，再びお客様に提供して使用して頂くことで， 廃棄物削減と省資源を実現する地球環境にやさしい製 品である． 今回紹介するimagio Neo 603RC/753RCは従来再生機 から省エネ性能，セキュリティ性能を大幅に向上させ た製品である．以下にその特徴を紹介する． 1)周辺機を含めリユース部品を質量比平均88%搭載． 大量の廃棄物削減と省資源化を同時実現． 2) 再生機として初めてHybrid QSU技術を搭載し，大 幅な省エネ性能を実現． 3) ハードディスク残存データ消去等の高度なセキュ リティ機能の搭載． 4) 国際エネルギースタープログラム基準，エコマー ク等の各種環境基準に適合．2．製品の概要
2-1 主な性能 imagio Neo 603RC/753RCはリサイクル対応設計が施 されているimagio Neo 603/753の使用済機を回収して， 再生処理している製品である．その為，基本機能につ いてはimagio Neo 603/753と同様である．製品構成につ いては元機imagio Neo 603/753ではオプション設定と なっているフィニッシャーを標準装備している．ベー シックとMFPモデル（プリンタ/スキャナモデル）およ び，ARDFの主な仕様をTable 1, 2, 3に示す．また， Fig.1には製品写真を示す．Fig.1 imagio Neo 753RC system.
Table 1 imagio Neo 603RC/753RC specifications.
imagio Neo 603RC imagio Neo 753RC 型式 コンソール式 原稿台方式 固定式 感光体種類 OPCドラム 複写方式 乾式静電転写方式 現像方式 乾式2成分磁気ブラシ1段スリーブ現像方式 定着方式 熱ローラ加圧方式 複写原稿 シート，ブック，立体物（最大A3，DLT） トレイ ／両面 最大A3（DLT），最小A5タテ（HLTタテ） 複写 サイズ 手差し 最大A3（DLT），最小A6タテ（ハガキ） 解像度 読取時：600dpi，書込時：1200dpi ウォームアップタイム 30秒以下（20℃） 30秒以下（20℃） ファーストコピータイム 4.2秒以下（第1トレイ） 3.5秒以下（第1トレイ） 連続複写速度（毎分） （紙サイズで異なる） 標準：60枚/A4ヨコ， 33枚/A3， 標準：75枚/A4ヨコ， 38枚/A3， 標準 1：1 1.15～4.00（拡大5） 0.93～0.25（縮小7） 1：1 1.15～4.00（拡大5） 0.93～0.25（縮小7） 複写倍率 ズーム （1％単位の任意設定） 25～400％ （1％単位の任意設定）25～400％ 本体 トレイ 1,000枚（タンデム）×1段＋手差し100枚 給紙方式 給紙 テーブル 550枚×3段 連続複写枚数 1～999枚 用紙紙厚 52.3～216.0g/㎡（45～180kg） 電源 100V，15A，50/60Hz 最大消費電力 1.5ｋｗ以下 大きさ （幅×奥×高） 1,417×760×1,165㎜ （自動原稿送り装置， フィニッシャー含む） 1,417×847×1,165㎜ （自動原稿送り装置， フィニッシャー含む） 質量 255kg以下 （フィニッシャー含む） 267kg以下 （フィニッシャー含む） エネルギー消費効率 約57Wh/h 約117Wh/h
Table 2 imagio Neo 603RC/753RC printer function specifications. 603RCモデル75 753RCモデル75 解像度 1200dpi/600dpi（RPCS，RPDL）400dpi（RPDL） 連続プリント速度 60枚/分（A4ヨコ） 75枚/分（A4ヨコ） 変倍 20%～300%（RPCS時） インターフェース イーサネット（100BASE-TX/10BASE-T） IEEE1284ECP準拠（双方向パラレル） プロトコル TCP/IP，IPX/SPX，SMB メモリー 384MB
Table 3 ARDF Specifications.
原稿サイズ A3～B6 片面原稿時：40～128g/㎡（35～110kg） 原稿紙圧 両面原稿時：52～128g/㎡（45～110kg） 原稿積載枚数 100枚（リコーPPC用紙タイプ6200のとき） 複写速度(毎分) 75枚（753RC），60枚（603RC） 最大消費電力 110W以下 大きさ （幅×奥×高さ） 680（幅）×560（奥）×180（高）mm 質量 約18kg 2-2 HYBRID QSU定着技術 ウォームアップ時間（復帰時間）の短縮を狙いとし たQSU（Quick Start Up）というリコー独自の定着技術 がある．これまでの複写機は電源を投入してから定着 ローラが所定温度に昇温するまで時間がかかり，使い 勝手を優先するために機械が稼動していない待機時に おいても常に定着に電力を供給する必要があったが， QSU技術により電源OFF時もしくは待機時からの復帰 時間が短縮され，使い勝手を損なうことなく消費電力 の大幅な削減が可能となった． QSU定着では，立上げ時間を大幅に短縮するため， 薄肉の定着ローラを採用し熱容量を低減している．こ れを高速機に展開するには通紙開始直後に発生する温 度落ち込みの課題を解決する必要があった（Fig.2）．
そこでimagio Neo 753RCの元機であるimagio Neo 753で は，通常のAC電源に加え，大容量蓄電デバイスのキャ パシタを定着補助電源に採用したHybrid QSU定着技術 を搭載し，温度の落ち込みの課題を解決した．
再生機imagio Neo 753RCもまたHybrid QSU定着技術 を搭載しており，前身機imagio Neo 751RCと比較して エネルギー消費効率を約59%削減し，大幅な省エネ性 能向上を実現している．なおimagio Neo 753RCは Hybrid QSU定着技術を搭載した最初の再生機である．
ȷǵȖȒȸǿ
ȷǭȣȑǷǿ
ȷ#%ᩓเ ȷဇኡ ȷܭბȭȸȩ ȷьןȭȸȩ %#2ȷǵȖȒȸǿ
ȒȸǿᲣ ȒȸǿᲣ ȷȡǤȳȒȸǿ ᲢȄǤȳ ȷȡǤȳȒȸǿ ᲢȄǤȳȳȒȸǿᲣ ȷǭȣȑǷǿ
ȷ#%ᩓเ ȷဇኡ ȷܭბȭȸȩ ȷьןȭȸȩ %#2Fig.3 Hybrid QSU fusing system.
2-3 セキュリティ機能の強化
近年の市場におけるセキュリティ意識の高まりから， imagio Neo 603RC/753RCは再生機前身機imagio Neo 601RC/751RCよりセキュリティ機能面が大幅に強化さ れている． HDD残存データ消去機能として，JOB終了後に随時 HDDに残存するデータを消去する『随時消去機能』お よび機械の移動時や返却時等任意のタイミングでHDD 残存データを消去する『一括消去機能』の二つの方式 にオプションにて対応している． 不正コピー対策として，プリントアウト時に地紋と して牽制文字を埋め込むことで，コピーするとその牽 制文字が浮き上がってコピーされ情報漏洩を抑止する 『不正コピー抑止地紋印刷機能』を標準搭載している． 更にネットワークからの侵入により漏洩する情報の セキュリティにはISO/IEC15408に準拠した設計にて対 応している．既存のWindows認証システムやLDAPサー バーとの連携により，ログインユーザー名とパスワー 定着 ローラ 温度 通紙 立上 定着性OK
通紙直後に
温度の落ち
込みが発生
通紙直後に
温度の落ち
込みが発生
定着性NG 定着 ローラ 温度 通紙 立上 定着性OK通紙直後に
温度の落ち
込みが発生
通紙直後に
温度の落ち
込みが発生
定着性NG Fig.2 Illustration of fusing roller temperature drop.ドを使用したユーザー認証による機器へのアクセス制 限を管理することが可能となっている．また，コピー， プリンタ，スキャナ，ドキュメントボックスといった それぞれの機能について，登録されたユーザーごとに 利用制限することが可能となっている． 2-4 環境基準／環境ラベルへの適合
imagio Neo 603RC/753RCはISOで定められた3つの環 境ラベルに加え，国際エネルギースタープログラム基 準およびグリーン購入法に適合している．以下にその 適合基準について紹介する．
Fig.4 Symbol mark of environmental label. ・エコマーク（タイプⅠ環境ラベル） 環境保全に役立ち，環境への負荷が少ない商品で あることを，（財）日本環境協会が定める認定基準 をクリアすることにより認定される制度． ・リコーリサイクルラベル（タイプⅡ環境ラベル） リコー製機器において，特にリサイクルに配慮さ れていると認められる製品に認定ラベルを貼付する 社内制度であり，再生機の基準として再使用部品使 用率が80％以上（質量比）であることが要求される． ・エコリーフ環境ラベル（タイプⅢ環境ラベル） （社）産業環境管理協会が開発したタイプⅢ環境ラ ベルのプログラムであり，imagio Neo 603RC/753RC シリーズはこのシステム認証制度に基づき情報を開 示している． ・国際エネルギースタープログラム基準適合 地球温暖化などの地球環境問題への対応として， エネルギー効率の高い機器の開発・導入を目的とし ている国際的な省エネルギー制度である．imagio Neo 603RC/753RCは国際エネルギースタープログラ ムの基準に適合している． ・グリーン購入法適合 最先端の省エネルギー設計やリサイクル設計によ り，高い環境性能を実現し，「グリーン購入法」に 適合している．
3．技術の特徴
3-1 再生工程の特徴 3-1-1 回収品質のバラツキを吸収出来る工程 再生機は回収された使用済み製品を原材料として製 造される．回収製品は回収センターにおいて回収・選 別基準に沿ってチェックし，再生可と判断された製品 のみが再生センターに供給されるが，使用枚数・使用 年数・使用条件などにより回収時点の品質のバラツキ は大きく，従って工程での清掃・部品交換などの再生 作業は個々の製品毎に異なり作業時間にバラツキが発 生する． imagio Neo 603RC/753RCでは，再生作業を回収機品 質毎に異なる変動作業（洗浄・清掃・部品検査など） と固定作業（再組付け・保証工程など）に分類し， 各々を集約した．また，変動作業工程での製品毎の作 業時間のバラツキを変動作業/工程作業間にバッファを 設けることにより吸収し，工程内の仕掛り，作業者の 手待ちがなく，スムーズに流れるライン構成とした． ≪固定作業工程≫ ≪固定作業工程≫ 回収機 診 断 回収 機 診 断 回収 機 診 断 分解・分 別 分解・ 分 別 分解・ 分 別 清掃・洗 浄 清掃 ・ 洗 浄 清掃 ・ 洗 浄 ユニッ ト 再 組 付け ユニ ッ ト 再組 付け ユニ ッ ト 再 組 付 け 本体 再組 付 け 本体再組 付 け 本体再組 付 け 工程内 検 査 工程内 検 査 工程 内 検 査 仕上げ ・梱包 仕上 げ ・ 梱 包 仕上 げ ・ 梱 包 出 荷 出 荷 出 荷 部品 バッ フ ァ 部品 バッ フ ァ 部品 バッフ ァ ≪変動作業工程≫ ≪変動作業工程≫ 部品 検査 部品 検査 部品 検査 ≪固定作業工程≫ ≪固定作業工程≫ 回収機 診 断 回収 機 診 断 回収 機 診 断 分解・分 別 分解・ 分 別 分解・ 分 別 清掃・洗 浄 清掃 ・ 洗 浄 清掃 ・ 洗 浄 ユニッ ト 再 組 付け ユニ ッ ト 再組 付け ユニ ッ ト 再 組 付 け 本体 再組 付 け 本体再組 付 け 本体再組 付 け 工程内 検 査 工程内 検 査 工程 内 検 査 仕上げ ・梱包 仕上 げ ・ 梱 包 仕上 げ ・ 梱 包 出 荷 出 荷 出 荷 部品 バッ フ ァ 部品 バッ フ ァ 部品 バッフ ァ ≪変動作業工程≫ ≪変動作業工程≫ 部品 検査 部品 検査 部品 検査3-1-2 給紙トレイ上昇モータの機能保証 給紙トレイ上昇モータは各トレイ毎に搭載されてお り，モータの回転角度を検出することでトレイの紙残 量を検知できる機能を搭載している．上昇モータによ る紙残量レベルは4段階検出することが可能であるが， 紙残量検知機能を検査しようとすると，4段のトレイつ いてそれぞれ4回のトレイ開閉動作を行わなければなら ず，作業効率が悪い． imagio Neo 603RC/753RCでは，上昇モータの紙残量 検知信号を自動的に検査する専用の装置を導入し，作 業の効率化と検査及び選別の精度向上を図っている．
Power Supply Unit
Paper Tray Motor
(Parts for inspection) Angle Signal Checker Signal 1
Signal 2
Paper Tray Motor Inspection System Power Supply Unit
Paper Tray Motor
(Parts for inspection) Angle Signal Checker Signal 1
Signal 2
Paper Tray Motor Inspection System Fig.6 Paper tray motor inspection system
3-1-3 キャパシタユニットの再生 キャパシタユニットはimagio Neo 753RCに搭載され ている「HYBRID QSU定着」の一部で定着ヒーターに 大電流を供給するための大容量蓄電デバイスである． 再生後には充放電時間と静電容量の機能保証が要求さ れる． キャパシタユニットは再生後，新造機と同等の寿命 保証が求められるが，回収されたユニットは既に市場 で数年稼動しており，使用環境，使用条件などのバラ ツキにより一部の部品の劣化が懸念される．
Fig.7 Capacitor power supply unit.
回収品の測定結果より，劣化の見られた部品を抽出 し，その部品を新品交換する事により，再生後も新品 同等の機能・寿命保証することを可能とした． また，再生品の保証手段としては専用の計測器を用 いて，充放電時間及び静電容量を測定し，新造機製造 時点と同等の基準で検査を行っている．
Fig.8 Reconditioning process flow of capacitor power supply unit.
3-2 部品診断技術 imagio Neo 603RC/753RCの再生工程では，機能性評 価を応用した再使用部品診断を行っている． 電磁クラッチは一台の複写機に複数個使用されてい キャパシタ放電 専用装置によりキャパシタ残電圧を放電す る．（作業者の安全性確保） 再生（部品交換） 事前評価において抽出された劣化部品を新 品に交換 保証（完成品検査） 専用計測器にて新造品と同特性値確認 ・充電完了時電圧及び充電所要時間 ・放電完了時電圧及び放電所要時間
る部品であり，単価も比較的高い部品である．従来の 再生機においては，回収された複写機に搭載されてい た電磁クラッチ（以下回収電磁クラッチ）の品質を診 断する技術が無かったことから，再生する際に全数新 品交換を行っていた． imagio Neo 603RC/753RCにおいて，環境負荷低減お よび部品コスト低減を目的として回収電磁クラッチの 診断技術を開発した． 回収電磁クラッチの診断は，回収電磁クラッチの機 能性評価により得られたSN比（機能の安定性）と静摩 擦トルクに相関があることから，再生工程において回 収電磁クラッチの静摩擦トルクを測定し，再使用可否 を判断している． この技術により再生機の品質を確保しながらも，従 来機種では部品を新品交換されることによって発生し ていた環境負荷や部品コストを削減することが可能と なった． -40 -35 -30 -25 -20 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 Static Friction Torque [mN・m] Si gn al t o N o is e R a ti o
Fig.9 Correlation between static friction to signal to noise ratio of used electro-magnetic clutch.
3-3 回収機の再資源化処理 ところで，これまでの説明のような再生機に活用さ れなかった回収機は，マテリアルリサイクルやエネル ギーリカバリといった再資源化処理に回される．そし て，この再資源化処理は，当社が外部委託した全国10 箇所のリサイクルセンターと呼ばれる施設にて実施さ れる． 当社は再資源化率や処理結果報告の義務等，機種間 共通の基本的達成要件については処理要求基準書とい う形でまとめ，リサイクルセンターに提出している． しかし，機種固有の条件が発生するような場合は別途 情報発信することにしている． 特にimagio Neo 753は，従来機と異なりキャパシタ を搭載しているため，リサイクルセンターでの作業時 の安全に対する注意が必要となっている． すなわち，当社が目標とする再資源化率を達成する ためには，キャパシタをさらに分解し，鉄やアルミと いった素材単位に分別することが必須条件となる．一 方で，キャパシタは基本的に電源が入っていない回収 機においても，感電や短絡の注意を要するユニットで ある． そこで，キャパシタの再資源化処理に対しては，ま ずリサイクルセンター内ではキャパシタ単位で一次保 管し，蓄電電圧が一定レベルまで降下するまで分解に は着手してはいけないこととした．さらに，二重三重 の安全措置として，キャパシタ分解に着手する場合の 作業者の安全眼鏡・手袋の着用を義務化，更にはキャ パシタ内部構造における感電・短絡の要注意箇所を明 確にした．（fig.10参照） 以上のように，製品再生と再資源化処理が一体と なって進めることにより，EPR（拡大生産者責任）を 満足する再生機を開発することが可能になっていると 言える．
Fig.10 The document for disassembling a capacitor unit safely.
4．環境負荷削減効果
再生機の環境負荷削減効果を定量的に評価するため LCA（ライフサイクルアセスメント）を実施している． LCAとは原料採取から製造，輸送，製品使用，再資源 といった製品ライフサイクル全体わたる資源及びエネ ルギー使用量，廃棄物排出量から，環境負荷を包括的 に評価する手法である．Fig.11，12に新造機imagio Neo 753及び再生機imagio Neo 753RCの製造時及びライフサイクル全体で排出さ れるCO2を示す．上記結果より，再生機は新造機に比 較してライフサイクル全体で約28%，製造時にいたっ ては約95%ものCO2発生を抑制することが示された． 再生機のCO2削減効果が大きいのは，製品ライフサイ クルでCO2発生量の大きい素材採掘，材料製造，部品 加工といった工程が，平均88%もの部品を再使用する ことで大幅に省略できたことによるものである． LCAの結果から再生機を生産することにより廃棄物 削減，省資源だけでなく，大幅なCO2排出量を抑制で きることが証明された．
5．おわりに
1999年から発売開始された再生機は，2006年には年 間一万台販売を達成した．このことは数多くのお客様 が再生機の品質への信頼を頂いたことと，再生機が環 境負荷削減に貢献できるという趣旨に賛同頂いた結果 であると考えている．この場を借りて再生機に理解を 頂いたすべての方にお礼を申し上げたい． 今後imagio Neo 603RC/753RCシリーズが地球環境保 全とお客様へのお役立ちに少しでも貢献できることを 願っている． 㪎㪇㪈 㪌㪇㪉 㪇 㪉㪇㪇 㪋㪇㪇 㪍㪇㪇 㪏㪇㪇 㪚㪦 㪉 㩷㪜 㫄 㫀㫊 㫊㫀 㫆㫅 㩷㪲 㫂㪾 㪆㪰 㪼㪸 㫉㪴 㫀㫄㪸㪾㫀㫆㩷㪥㪼㫆㪎㪌㪊 㫀㫄㪸㪾㫀㫆㩷㪥㪼㫆㪎㪌㪊㪩㪚Fig.11 CO2 emission through the life cycle of imagio Neo 753 and 753RC. 㪋㪈㪏 㪉㪋 㪇 㪈㪇㪇 㪉㪇㪇 㪊㪇㪇 㪋㪇㪇 㪌㪇㪇 㪚㪦 㪉 㩷㪜 㫄 㫀㫊 㫊㫀 㫆㫅 㩷㪲 㫂㪾 㪆㪰 㪼㪸 㫉㪴 㫀㫄㪸㪾㫀㫆㩷㪥㪼㫆㪎㪌㪊 㫀㫄㪸㪾㫀㫆㩷㪥㪼㫆㪎㪌㪊㪩㪚
Fig.12 CO2 emission in product process of imagio Neo 753 and 753RC.
